子育てをしていると、子どもや家族の行動に「怒り」を覚えることも多いかと思います。また家族や子どもに対して「なんだか今日は機嫌が悪いな」と感じることもあるのではないでしょうか。この記事では自分や家族の「怒り」をコントロールするための情報をご紹介します。
その「怒り」は勘違いの可能性がある
人間の脳はさまざまな場面で「勘違い」することが知られています。吊り橋の上のようなドキドキしやすい場面で異性がそばにいると、そのドキドキを恋愛感情であると勘違いしてしまう「吊り橋効果」は有名な例です。この吊り橋効果に類似した「勘違い」が、あなたが悩んでいる「怒り」にも同様に起こっている可能性があるのです。
たとえば、朝テレビで、暴走した車が歩道を歩いている歩行者の列に突っ込み…という痛ましいニュースを見たとします。ニュースのことは忘れたその日の昼、ランチを約束していた友人が今日も遅刻してきました。いつもなら少しくらいの遅刻は気にならないのですが、今日は友人に対して「怒り」を覚えました。
さて、このときの「怒り」は本当に友人の遅刻に対しての「怒り」なのでしょうか。実はこのような状況で、朝のニュースで覚えた「怒り」や不快感を、友人の遅刻に対するものと勘違いしている可能性が考えられるのです。
その「怒り」は本当に目の前のことが原因なのかを考える
前述の通り、脳は勘違いをします。このような現象は誤帰属と呼ばれています。「怒り」をコントロールするためには、その「怒り」は本当に目の前のことが引き起こしたものなのか(誤帰属でないか)を一度立ち止まって考える必要があります。
たとえば、家族が仕事から帰ってきたときのことです。子どもがおもちゃを片付けずにテレビに夢中になっている様子を見て突然子どもに怒り出しました。やがて怒りの矛先はあなたに向かい…
たしかにこの状況だけを見ると、この家族は片付けをしない子どもと、子どもに注意をしないあなたに対して怒っていると考えるのが自然です。しかし、あなたはこう考えるべきです。
「脳が勘違いしているかもしれない」
あなたは家族が怒っているのは自分たちのせいではない可能性があることに気づきました。そしてあなたは、もしかしたら家族は仕事で嫌なことがあったのかもしれないとか、今日は特に忙しかったのかもしれないといったことを想像します。もっとも八つ当たりをされるのもそれはそれで嫌なものです。それでも、相手の怒りをまともに受け止めるよりは穏やかな気持ちでいられるはずです。
また、あなた自身が何かに「怒り」を感じているときも同様です。その「怒り」が勘違いである可能性があることを意識することで、自分の感情に振り回されたり、誰かを振り回してしまうことを防ぐことができるでしょう。
脳が勘違いしている相手に対してあなたが取れる行動
では、「怒り」が目の前の現象が引き起こしたものであると勘違いしている相手にあなたが取れる行動はどのようなものがあるでしょうか。
まずは、話を聞いてあげることです。「普段よりも疲れてるみたいだけど、どうしたの?」などと質問してみるといいでしょう。「実は今日こんなことがあって…」と「怒り」の原因が分かれば、脳の勘違いと考えてよさそうです。また、人は嫌な出来事を誰かに話すだけでも気分転換になるものです。心理学の実験では、ネガティブな感情のときはネガティブな情報に目が行きやすいことが検証されています(気分一致効果)。しかし人間にはネガティブな感情のときは積極的にこれを解消しようとする機能があることも知られています。不満を聞いたうえで、(話を聞いてもいまいちストレスの原因がわからない場合でも)相手が気分転換できるような環境に誘導してあげるとよいでしょう。
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